今回は6/10に行われた、部内1年生大会”プレ井上杯”についてです!

この大会は1年生の大会経験はもちろん、2年生のジャッジ経験も兼ねたeffectiveな大会でした(語彙力)

 

そこで今回は、Debater/Adjudicator/Adjudicator of Adjudicatorの3視点からブログを書いてもらいました!( ̄▽ ̄)

1年生の古舘くん、2年生の仲間くん、3年生の我らがHung様の順番です!

 

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<Debater>

 

はじめまして。九州大学ESS一年の古舘です。

どのような方がここをご覧になるのかよく分かっていませんが、ブログには初登場と言うことで自己紹介を絡めつつ2018年度のプレ井上杯を一選手として振り返っていこうと思います。

 

ではまず軽く自己紹介から。中学、高校時代は皆さんご存じNADE、全国教室ディベート連盟の大会に参加していました。嫌いな科目、苦手な科目ランキングのかなり上位に英語が入るような生徒で、『ディベート』を日本語アカデミックディベートのみを示す語として使っていました。しかし大学に入り、いろいろあった結果、部活動として英語即興ディベートをしています。同じくくりではありますが、違う部分もかなり多いのでその差を実感しています。

今は概念系ゆるふわディベーターを目指して練習に励んでいます。そんな中で参加したのが今回の大会でした。

 

一試合目の論題は賭博全面禁止についてでした。この試合で僕は肯定側セカンドスピーチを担当し、否定側は入場時に制限を付ける公営の賭博場ならば良いのではないのか、という主張をしました。結果としてここの点に関して立証が不十分であったということで負けました。僕は試合終了まで公営賭博場は許されるべきだという主張の部分しか理解できていなかったため、その点に有効な反駁や立証の追加ができていなかったことが敗因です。(今回の反省点その1ですね、パートナーに申し訳ない。)

 

二試合目は両親双方の育児休暇取得の義務化についてでした。この試合は否定側のファーストスピーチとサードスピーチを担当しました。肯定側の提示したプランは二週間の育児休暇取得を義務化するというものでした。否定側としてこの短期間の休暇により問題が解決されることはないという主張をしましたが、「二週間」という部分をより長期間に置き換えても論が通り、置き換えることで論題を肯定することはできるというのがジャッジの方の考えでした。結果的に勝てたから良かったものの、僅差の試合となってしまったのは反駁すべき点を見誤ってしまったというのは反省点その2です。プランという具体的な政策を根拠に論題を肯定する以上、そこが崩れると肯定側の主張は取れなくなり、プランの改変をジャッジが行うのは過度な介入であると僕は考えていたのですが、パーラーでは違ったようです。

 

(ここから引用が長くなるので読むのがめんどい、って場合はじゃんじゃんスクロールしてください。

ちょうど手元にある「現代ディベート通論」という本()によると、まず政策形成パラダイムにおけるプランについて

『度々書いた様に、ディベートは政策比較を伴い、Affの持つ政策とNegの持つそれの、それぞれの純利益の比較に拠って決せられる。例え最後にジャッジの為す判断が、ディベート決論命題の採択または否決であろうとも、それは政策比較によって決められるのである。従って、ディベーターは決論命題の行為進路を示す政策(システム)を、はっきりと知らねばならない。もしそれが曖昧ならば、ディベートの最中にディベーター自身とジャッジが比較していく場合にきわめて不便であるからだ。』(p89)

『ディベートの決論命題は、昨今特にではあるが、一般に広範である。これでは、意義のある政策比較を行おうとする際に不都合が起こり兼ねない。(中略)ところが、最近は極めて一般的な語句を持った決論命題が多くなった。これは第三章で触れた通りである。その結果、それは極めて広い進路行為を示し、故に様々な具体的行為が考えられるようになった。ポリシー・システムを考える際に極めて重要な解決性ないし有効性、弊害が起こる過程、或いはそれを如何に防ぎ得るのかは、しかし、具体的な政策の仕組みに依っている。従って、政策の評価は具体的な仕組み抜きでは考えられない。』(p89)

とあります。そして仮説検証パラダイムについては

『先ず第一要素としては、このパラダイムではディベートを決論命題に蓋然的な真理性の検証・探究の過程とみなす。この決論命題は検証されるべき仮説として機能することとなり、各々の側のディベーターは決論命題が蓋然的に真であるか否かを各々主張・擁護することになる。(中略)

第二要素として、先ず第一に推定は常に決論命題を偽とみなすとされる。これは、決論命題の検証をできるだけ厳密にすることから来る要請である。つまり、決論命題を真だと確信してしまうと、他の仮説の蓋真性を探らなくなるので、その様な多くの仮説の可能性を放棄するリスクの故に、決論命題は偽だとみなされなければならないとされる。だが、この推定はディベートのアーギュメント自体には影響を与えず、ただ、どちらが先にスピーチを始めるかを決めるのと、全く両者が同等の時のタイブレーカーとなるのと、二つの機能しか持たない。とは言うものの、ここから来る他の面への帰結がかなり重大である。

 次に、これと関連して、ジャッジの決論命題の肯定は何等の政策への支持をも意味しないということがある。決論命題の採択はその決論命題の具現化たる政策の採択とはならないということである。つまり、ジャッジの決論命題の肯定はその決論命題が恐らく真だろうという彼()の確信の表明なのである。従って、その逆は、決論命題が蓋然的に真だとは確信できないということであり、必ずしも決論命題が偽であるということではない。

 この様に、決論命題自体の蓋然的真理がディベートの求めることとなる故に、決論命題の言葉の各々が重要となってくる。何故なら、決論命題中の単語を替えることにより、別の決論命題、対抗決論命題、と言える代替仮説を作ることが出来るからであり、同じ現象を説明するのに二つの決論命題があるならば、元々の決論命題が正しいとは言えなくなる。これは、同じ利点を生み出すカウンタープランがあれば決論命題は正当化されないという、いわゆる命題被正当化性の問題であり、このパラダイムにおいては決定的に重要となる。

 これはAffにとっては、どういうことを意味するかというと、先ず決論命題を一般的に正当化する必要性が出てくることが挙げられる。また、決論命題自体の蓋真性を証明する必要性がある故に、具体的なプランの詳細はどうでもよく、決論命題の解釈を変えない範囲において、ディベートの試合中にプランを修正することも許される。また、それどころか、決論命題が余りに一見明白にある行為を一意的に規定しているときは、プランを提出する必要すらなくなる。

 Negにとっては、もっと意味するところは大である。Negの為すべきことは、ともかくも決論命題の蓋真性を否定することであるから、決論命題が必ずしも必ずしも蓋真性ならずということを示すためにいくらでも、カウンタープランを出しても良い。(中略)

 更に、最後に加うるに、このパラダイムでは本在性が非常に重要となる。その実質は「決論命題がなければ、何故善良と推定される人がその様な害悪に耐えているのか」という問いであり、決論命題が解決せんとする問題を生起・持続させる中核動機の探求が求められる。』(p27,28)とあります。

 

 

つまりパーラーは政策形成ディベートではなく仮説検証パラダイムにおいて行われるんだ!!!ってことですね、はい)

 

三試合目は学校におけるいじめにより生徒が自殺した際の教師への罰則についてで、僕は否定側のセカンドスピーカ—でした。冒頭に書いたように僕は概念系ゆるふわディベーターを目指しているのですが、練習試合で実害がないと、権利や義務のみを推していては票をもぎ取れないということが分かりこの試合では実害を推してみました。僕はTHWの時は政策について論じるから実務的な損得が重視されてTHBTの時は「すべき」というべき論であって「重大な損失が出るけど理想としてはすべき(実際にするとは言っていない)」と思っていたのです。結果としては何が良くなるのかと別に役割、義務としてそうすべきである、ということで肯定側の勝利となりました。これも仮説検証パラダイムとして考えると納得できる気はします。反省点その3としては理想論も投票理由となることを失念していたことです。十分な反駁が出来ずに負けてしまい、申し訳ないです。やはり概念系ゆるふわディベーターへの回帰が必要なようです。

 

4試合目はLGBTQIA+、いわゆる性的少数派専用の学校を建設することの是非でした。否定側のファーストスピーカー、サードスピーカーとしてこの試合に臨みました。結果として勝ったということと別に、ファーストとしてはDACPを提示して、その上でTAとしてもう一つのDAをぶつけることが出来たこと、パートナーにCPを補強してもらえたこと、サードとして投票理由まで主張できたこと、この役割がそれぞれ出来ていたので良い試合を出来たと思います。

 

以上の四試合の結果チームとしては2位でした。そしてスピーカースコアなるものがパーラーには存在するようで、こちらも2位でした。この結果が試合の講評で僅差だったという言葉をよく聞いた理由を端的に示していると思います。勝ちきれない理由を考えて改善しなければなりません。NADEの大会でも同様にコミュニケーション点というものがあり、かつての僕は15点満点で普通なら9点となるところを5点だったことがあるほどひどいスピーチをしていたのでまあまあ評価されていたので嬉しくはありますが改善点も多いので、反省です。

 

この結果を踏まえて幸運にもエキシビションマッチで積極的安楽死の合法化を論じることが出来ました。否定側のセカンドスピーカーとして試合に出させて頂きましたが、もっと否定側フローを伸ばす形で実害を推すべきだったかなあとは思います(医療費を払い続ける家族からの無言の圧力による望まぬ死など)。その上で生きながらえることでQOLが向上する可能性もある、だから利益がはっきりしないまま可能性や命を奪うことは選択の自由により正当化されない、ということを精神的な病も含めて主張できていたら票も少しは変わったのかもしれません。ここも改善すべき点が多かったので反省です。

 

ここまで根気強く読んでくださった方、駄文を長々と続けて申し訳ないです。その様な方なら僕が政府側、反対側といわず肯定側、否定側と呼び、PMをファーストスピーカーと呼ぶなどしていることに気づいたのではないでしょうか。このあたりは日本語アカデミックディベートの癖が抜けておらず、慣れていないということです。

最後になりますが、今大会に関わった全ての方、殊に急遽チームを組んだパートナーに厚い感謝を述べて終わろうと思います。ありがとうございました。

 

「現代ディベート通論 復刻版」(2005)

執筆者 

伊豆田達志(東京大学、全日本英語討論協会会長)

蟹池陽一(東京大学、全日本英語討論協会顧問理事)

北野宏明(国際基督教大学、全日本英語討論協会名誉顧問)

並木周(早稲田大学、全日本英語討論協会顧問理事)

復刻版編集 安藤温敏、ディベート・フォーラム出版会

 

 

<Adjudicator>

 

九州大学2年、仲間です。今回は九州大学ESSディベートセクションの一年生大会であるPre-Inoue cup での記事をジャッジ目線で書きたいと思いまーす。

そもそも僕は大会に一回しか出たことなくて、ジャッジもやり方わっかんねぇよというとこからこの大会の日程が組まれて言ったわけですが、今回は部内大会にかかわらずちゃんとしたジャッジテストが用意されていて、まずはジャッジテストのやり方を学ぶところから始まりました。自分はとても怠惰な人間なのでジャッジテストも当然のように締め切りを過ぎて出してしまったわけですが、(申し訳ありませんでした)AC見解や、ジャッジの仕方のフィードバックをいただけて、ああ〜、こういうところ見るのね〜というような、大会本番でのジャッジの仕方を学ぶ機会になって、大会前からすごく有意義な経験になりました。

大会本番は8時集合だったので、眠い目をこすらせながら教室に赴き、色々準備をしていざ本番。本当の大会さながらにモーションごとにムービーが流れて、めちゃ楽しかった。。。ムービー作成お疲れ様です。。。大会の感想としては、一年めちゃうまい、英語しゅごい。。。自分は去年、この大会の直前くらいに入ったので、ジャッジとして一年のスピーチを聞いていて、去年の自分はこんなに言えなかったなぁ。という試合が多くて、すごい感動してしまいました。ジャッジとしてもAdjudicator of Adjudicatorの人に評価してもらったり、chairpanel で相互に評価したりと、いい経験になりました。

あ、ジャッジで2位もらいました。ありがとうございました😭😭

 

追記:ジャッジ目線だけテキトーな感じなってごめんなさい💦

 

 

<Adjudicator of Adjudicator>

 

Hi everyone, thank you for spending your time reading this blog, I hope you will find it interesting and educational (lol).

My name is Khac Hung, 3rd (?) year in QUDS. Today I would like to briefly share some of my thought on Pre-Inoue cup 2018 from the perspective of Adjudicator of Adjudicator (A.A).

1. What is Adjudicator of Adjudicator (A.A): Basically, it is a new position that AC team of Pre-Inoue cup “invented” for seniors who have experience in judging before.

2. What is the role of A.A: We act as observers of the tournament (and sometimes we act like runners, black board cleaners, time keepers etc.). We will observe the round and judging discussion process then give advice and evaluate judges in that round (and of course, advice for debaters as well).

3. Thought on Pre-Inoue Cup 2018

    3-1. The tournament: This year Pre-Inoue cup had a quite tough schedule with 5 rounds, including 3 open rounds, 1 silent round and the last one for top speakers and judges. However, committees and ACs managed to run the tournament on time and especially I would like to give tab team (who is often times the reason of delaying) a compliment. The evaluation sheet system is brilliant and releasing allocation on time really helped the tournament a lot.

    3-2. Motions: This year set of motions was good. Most of them are 古典 motions with a little bit twist. With this set of motions, freshmen debaters could easily come up with cases and revise previous lectures about argumentation and debating tactics. Room for improvement, if there is any, is that please consider about the fairness in BoP of motion and wording of the motions.

    3-3. Adjudicators: This is one of A.A’s jobs: Observing adjudicator, so in this part, I would like to write a bit longer. I observed 4 out of 5 rounds’ discussion. As good points, in all venues that I observed, second year judges did great job in note taking and understanding the argumentation coming from freshmen, thus the decision and RFD were quite clear and understandable (no irrational judge). More importantly, some points of improvement for judging that not only second year judges but I myself need to improve: a/ Be holistic. As judges, they are required to look at the debate as a whole and assess the argumentations of both team equally. In this tournament, sometimes, judges focused too much on small points of the debate and neglect some huge, important clashes brought out by both teams. b/ BoP allocation. When assessing the debate, BoP of both teams should be fairly allocated so that you can fairly judge which team fulfilled their BoP. Some judges in this tournament considered too much BoP for one side while easily give credits for the other, or sometimes, judges unilaterally believed in some BoP pointed out by debaters in the round. Be skeptical about that as well (Average level of skepticism, please refer to Judge briefing for more detail). c/ Given b/, when assessing matter of the round, please consider more about relevancy of those matter. No matter how much debaters illustrate their points, if their points are not so much relevant or irrelevant, it doesn’t strengthen the persuasiveness of their their case and fulfill their BoP. On the discussing process: a/ Be confident. Just because you are minor voter doesn’t mean that you are bad judge, engage in the discussion and show others your thought and evaluation. b/ Actively ask questions. Even if you have the unanimous decision, different judges have different points of view for the debate. Asking and exchanging the ideas on how to assess the debate will make your RFD more holistic and persuasive.

    3-4. Freshmen debaters: Watching freshmen debating in Pre Inoue cup this year really made me happy. Not only in the sense that I see a lot of potential in them, but also  I could see their passion for debating. Joining  Pre Inoue as their first tourney in debating career, freshmen surprised me with how much they improved just during the tournament. In the first round, they were nervous and couldn’t make a full 7-minute speech but when come to the third round, they could confidently talked in 7 minutes with clear structure and more analysis. And the exhibition match was astonishing, at some points of the debate I was moved because of the illustrations and rhetoric in freshmen speech. Thanks to them, I could feel optimistic for the future of QUDS and also more responsible, as a senior, to help freshmen expand their potential.

In conclusion, Pre Inoue Cup 2018 was a great tourney. Thank you Organizing committees and ACs for your hard work. This tourney is the start of new debating year for QUDS (well technically, we have one team in Elizabeth Cup but still, let’s just consider Pre Inoue as the starting point), and I believe that with a great start like this, this year will be a successful year for all debaters in QUDS. Best of luck!

P/S: So in the end, there was not so much educational points in this part so really sorry if you expected more technical talk about debate (Hope that other people writing in this entry will do more about motions analysis etc. :p)

 

Cheers!

 

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いかがでしたでしょうか!

3名の個性があふれる楽しいブログになったと思います!

 

更新者もジャッジで参加しましたが、ジャッジテストしたりスピーカースコアつけたり、ジャッジエバリュエーションしたり色々経験になりました(`・ω・´)

exhibition matchなるものにも参加させてもらって楽しかったです!

 

皆さま参加ありがとうございました!特にACの方々はお疲れ様でした(o_ _)o))

 

次回は2年生最後の学年大会Gemini cupの更新を予定しています。

 

↑ 集合写真です!人が多い!(∩´∀`)∩

↑ 毎年恒例偽モーション(笑)