今回はジャッジ編です!

ワールズにジャッジとして参加された大賀先生にブログを書いていただきました!

今回も細かくジャッジの評価について書いてくださっているのでかなり勉強になるかと思います!

ぜひご一読ください!

 

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こんにちは、大賀です。Belgrade WUDC、所謂ワールズにジャッジで出ました(オンライン)。残念ながらブレイクできませんでした・・・。

 

最後のラウンドでジャッジして、子どもを寝かして、それからタイムテーブルから大幅に遅れて始まったBAを見て(深夜1時・・・)、「ああ、やはり」(理由は後述)という虚脱感のなか、勢いでこれを書いてるので、あまり中身はないです。



目次

1.ワールズにでました

2.ワールズにでるまで

3.予選

4.できたこと/できなかったこと



1.ワールズにでました

一応、半年くらい前からワールズに出ようと思っていろんな準備をしてきました。計画通り行ったものもあり、計画倒れに終ったものもあり、半年あっという間だな〜と思っていたらワールズ始まってました・・・というのが実感に近いです。

 

日本時間で言うと、奇数ラウンド(19時~)/偶数ラウンド(22時半~)という予定で、R9まで5日間にわたり予選が組まれてます。そうなんですが・・・基本的に1時間~1時間半遅れで進行してました。100ベニューくらいあって全員が各部屋のZoomに揃うまでモーション発表しないという恐ろしいマネジメント方針で、めっちゃ時間おしてました(アジア勢は睡魔との戦い・・・)。私はだいたい奇数ラウンド始まる前に子どもにご飯をあげて、ジャッジ終ったら子どもをお風呂に入れて寝かせる。で、ちょっと休憩して偶数ラウンドに臨むという感じでした(なので、遅れてくれてちょうど良かったです)。

 

2.ワールズにでるまで

さて、ワールズ出る前の半年くらいを振り返りますと、Uhuru Worldsに1月に出ました。今ではもう大昔に感じますが、こんなブログを書いてました。

 

https://quessdebsec.jimdofree.com/%E5%A4%A7%E4%BC%9A%E8%A8%98%E9%8C%B2%E3%81%A8%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/2021%E5%B9%B4/2021-uhuru-worlds/

 

その後、結構大会にはコンスタントに出てました・・・と言いたいところですが、5月6月はあまりジャッジ業できず、若干ブランクある状態でワールズに臨むことになってしまいました・・・。以下、BPでジャッジ参加した大会です。

 

・Breaking Adjudicator, GF Panel, Pacific Cup IV 2022 (Canada: 2022.2.12-13) 

・Fail to break, Philippine National Debate Championship (Philippine: 2022.2.18-20)

・Breaking Adjudicator, ESL SF Panel, Leiden Debate Open (Dutch: 2022.2.26-27)

・Breaking Adjudicator, GF Chair, British Parliamentary Championships 2022 (Canada: 2022.3.12-13)

・Breaking Adjudicator, GF Chair, Kay-San Cup (Singapore: 2022. 3.18-19)

・Fail to break, The Alfaaz Open (India: 2022.3.26-27)

・Fail to break, Zimbabwe Easter Debating Championship (Zimbabwe: 22.4.1-3)

・Fail to break, LSE Open (UK: 22.4.9-10)

・Fail to break, MITDT (India: 22. 4.15-17)

・Breaking Adjudicator, GF Panel, Ukraine Charity Open (UK: 22.4.30)

・Fail to break, Glasgow Summer Cup (UK: 22.7.9-10)

・Breaking Adjudicator, QF Panel, Imperial IV (UK: 22.7.16-17)

 

 

ネガティブな面としては(≒もうちょっと頑張れたんじゃないかと思ったのは・・・)4月にわりとブレイク落ちが続いてしまったこと、5月はあまりジャッジで大会参加できなかったこと、あと諸事情あって6月はディベート自体ほとんどできませんでした・・・。

 

なので、大会にはたくさん出ましたが、めちゃくちゃ努力したとか、ジャッジの勉強をものすごくしたというわけではなく、上手くいくときといかないときのムラが激しいという印象です。なかなか時間管理が難しく、集中してディベートに取り組む(そのための時間を確保する)ことができてなかったです。要改善・・・。

 

ポジティブな面としては、当初目標としていたヨーロッパの大会でブレイクできたこと、大会規模はさておきGFでジャッジするという経験を複数回積めたこと・・・ですかね。あと、ヨーロッパの大会に出始めた頃(去年の12月くらい)は、2位ラウンドくらいでも(聞き取り、情報量など)結構厳しかったんですが、最近はトップラウンドでも普通に聞いて普通にジャッジ・ディスカッションできるようにはなっていました(ジャッジの質はともかく)。まあそうですね、めちゃくちゃ頑張ったとはもちろん言えないものの、それなりに成長も体感できて、これはなんかワールズもいけるんじゃないかと比較的楽観的に考えてました(大間違いでしたが・・・)。

 

3 予選

というわけで、本題WUDC。パネルスタートで、最後のR9を除き、ずっとパネルでした。最初の方と最後の方でレベルの高いラウンドを経験しましたが、それ以外は普通のラウンドで普通にパネルするという感じでした。

 

概要ざっとこんな感じです。

 

R1:LSEのMatt Caitoをジャッジする(たぶん2回目。結局このチームがオープン1位ブレイク)。

R2~R7:真ん中くらいのラウンドをジャッジする(チェア、私、もう1人のパネルorトレイニーっていう組み合わせで、かつ私とチェアのディシジョンがほぼ同じ・・・ということが多かったので、ディスカッション自体はわりと平和でした)。

R8:オープンバブルっぽい部屋に入る。チェアはヨーロッパのオーソリ、Klaudia Maciejewskaさん(このラウンドが散々だったのでブレイク落ちを確信しました涙)。

R9:Chairになる。所謂「どのブレイクにも関係しない」部屋でした・・・。

 

やはり、最大の山場はR8なので、R8だけ振り返ります。

 

Info:In 2004, Poland, Czech Republic, Slovakia, Hungary, Slovenia, Latvia, Lithuania, and Estonia joined the European Union (EU), followed by Bulgaria and Romania in 2007, and Croatia in 2013. For the purposes of this debate, the above countries are 'the Eastern bloc'. Serbia, Bosnia, and Northern Macedonia, along with other countries, are not currently part of the EU, but are aspiring to join the EU.

 

Motion:This House Prefers that the Eastern bloc countries had formed their own Union instead of joining the European Union (EU)

 

15点+α(R6までに15点以上とってるチームのラウンド)で、チェアが前述のオーソリ、もう1人のパネルは知らない人でしたが、この大会でもチェアの常連で、なかなか厳しいメンバーだなと思ってました(笑)。

 

チェア:OG>OO>CG>CO

私:CO>OO>CG>OG

パネル:OG>CG>OO>CO

 

イニシャルがかなりヤバい感じですが、チェアから見ると、私は1位と4位が逆、もう1人のパネルは2位と3位が逆というコールでした。

 

ちなみに各チームのスタンスは、

 

【OG】東部連盟で軍事同盟結べば良い。ロシアはless aggressive(旧ソ連領域にはaggressiveだけど、東欧に対してはaggressiveではない)。経済発展には文化的紐帯が大事(東欧と西欧(EU)は全然違う)。

【OO】EUに入って貿易できる。移動(移民)も自由。経済発展にはEUの力が必要。EUに入ることで人権やデモクラシーが保証される。

【CG】大事なのは国家主権。EUに入ることで国家主権は損なわれる。国家主権を保持した上で、EUにもロシアにも交渉力を保持した方がいい。

【CO】ロシアは東欧も狙っている(侵略の危険がある。EUに入ることで、NATOから守ってもらえる)。東欧各国の強みは農業生産。Cheap laborで原価は安いのでEUの市場に食い込める。

 

オープニング、OO vs CG、COの扱いという順にディスカッションが進んでいきました。

イニシャルがかなりずれていたので、積極的にディスカッションに入っていきました。

 

まず、オープニング。私は、OGが軍事同盟の効果、文化的紐帯の効果を証明できてない(どのくらいのeffectivenessなのかわからない)ととっていて、少なくともOOはEUに入った場合の経済効果を証明できていると考え、そういう説明をしました(ロシアがless aggressiveという部分も、OGの説明がちょっとassertiveだったのであまり評価してませんでした・・・)。チェアはOOが「OGの安全保障の議論」に効果的にengageできてない点を問題にしていて、主に経済の話とデモクラシーの話しかしてないという評価でした。つまり、クラッシュが安全保障、経済、デモクラシーとある中で、OGは結局安全保障の話を守り切ってるというのがチェアの考えで、私は逆に安全保障、デモクラシーの話はデッドロックになっていて、経済の話がタイブレーカーと考えてました。あと、チェアと(もう1人の)パネルは、ロシアがless agrressiveという話を結構とっていたのでそこも相違がありました。結局ここはすごいclose marginだけど、安全保障の論点でOGが若干上(しかし、OOを評価する理屈もわかります)という結論になり、納得しました。

 

続いて、OO vs CG。ここはチェアと評価が同じだったこともあり、議論は進めやすかったです。主権の保護=more bargaining powerという話が、OGに対してはextensionになっているものの、more bargaining powerという話がsubstantiveには証明されていなくて、仮にここが証明されていたとしてもOOの経済の話に返してないからOOのインパクトは残るという話をして、パネルの方にも1往復半ぐらいで納得してもらえました。

 

で、いよいよCOの扱い。ここが一番の致命傷になったところではないかと思います。

私はEU=NATOの話がオープニングのデッドロック(ロシアの脅威があるのかないのか)を解決しており、かつOOでふわっとしていた経済の話がCOで具体化されているという取り方をしてました。対して、チェアとパネルは、「EUに入らなくてもNATOは助けてくれるよね」っていうCGの反論をとっていたのと、農業の話をOOからのderivativeな話ととってました。それに対して、私はExtensionがderivativeという点は認めた上で、NATOの話がexclusiveかどうかで議論をしました。結局このNATOの話は、COが東部連盟とEUの場合でNATOのスタンスがどう変わるのかを説明しきれてないというチェアの解釈を崩しきれずに・・・CG>COということになりました。

 

他の部分の比較はそうでもなかったと思いますが、COを1位にしたのが厳しい評価につながってしまったような気がしています(この時点でブレイク落ちを確信しました・・・涙)。R9はかなり点数の低いベニューのチェアをやって予選が終ります(おそらくR8の評価がかなり低かったのではないかと思います・・・)。そして、案の定・・・ブレイク落ちしてました。

 

4.できたこと/できなかったこと

最後にちょっと総括的に。意識してできたこと、まだまだ課題があってできてないことを備忘録的に書いてみようかと思います。

 

まず、できたこと。

 

①各チームのフレイミングを考えてジャッジする

これは4月くらいから意識するようになって比較的できるようになってきたかなと思います。No extensionとかNo contributionとか思ってもそれをデシジョンの理由にするのではなくて、「結局このチームは何をしようとしていたのか」「それはどの程度成功していたか」「それが成功したor失敗した理由は何か」ということをOAやディスカッションに反映するようにして、単純に「ここのチームは△△ができていたから(orできていなかったから)〇位です」という説明は避けるようにしてました(もちろん、モーションとかラウンドのレベルに左右されますが)。

 

②even if を用意する

これわりとよく言われてることだと思うんですが、本番時間がない中なかなかできないというのが実情ではないかと思います。とりあえず、6つある各比較のなかで1st linerのjustificationを考えて、次に他のジャッジがこれに反論するとしたらどこを突いてくるのかという視点で2nd linerのjustificationを考えるというのをやってました。あと、ジャッジ・ディスカッションがdeadlockになるのは時間の無駄なので、こういう条件だったらここの順位は変えうるみたいな要素を考えたりしてました(ラウンドのレベルにも依るので、完全にはできてないですが、基本方針はそんな感じで)。

 

③チェアにpersonal feedbackを訊く

なんで今までこれをしなかったのか不思議なくらいですが、ワールズではわりとこれをやってました。ただこれをやると、「私にもフィードバックあればお願いします」「私のOAどうだった?」とか訊かれることがあるので心の準備を。ヨーロッパ圏の大会ではジャッジ・スコアが公開されない(WUDCも公開されない)ので、フィードバック訊かないと改善しようがないということは結構ある気がします。

 

次にできなかったこと

 

④ウェイトの置き方

上の方のラウンドだと、基本的な証明は結構できている場合が多いので、説明ができてる中でどこにウェイトを置くかでジャッジが別れるし、逆に下の方のラウンドだと基本的な説明がされてない中でやはりどこにウェイトを置くかでジャッジが別れるということになるかと思います。なので、なぜその見方(ウェイトの置き方)がこのラウンドで重要なのかっていうのを言語化できないといけないわけですが・・・これはまだまだ全然できてないなと痛感しました。


勢いで書いてたらそこそこの分量になってしまったのでここらでやめます笑。課題は沢山ありますが、マドリードも出るんじゃないかと思います。最近、部内練習にほとんどいけてませんが、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。